fc2ブログ
きっと誰かに愛されている

『世界の戦場で、バカとさけぶ』

2015/07/12
ノンフィクション・手記 4
先日、『世界の戦場で、バカとさけぶ』を読みました。
これは、戦場ジャーナリストの橋田信介氏が故郷、山口県宇部市の「宇部日報」紙上に連載していたコラムを奥様がまとめたもの
。橋田氏は2004年5月にイラクで凶弾に倒れました。

とても軽妙な語り口で書かれていますが、でも、戦場がどういうものか、日本社会のおかしなところをズバッと切り込んでいると思います。

戦争のできる国へと舵を取りつつ今の日本ですが、こういう本はもっと読まれてもいいのにって思います。

橋田氏は言います。
「戦争」と「戦場」は違う、と。
「戦場」は単なる殺し合いの場。「戦争」は経済権益や大国の威信をめぐる政治のかたまり。

アベ内閣や官僚達は「戦争のできる国」へと日本をしたくてたまらないようですが、彼らが考えているのは、あくまで「戦争」。
「戦場」を考えては決してないのだろうと思います。
だからと言って、「戦争」も絶対に嫌です。


次に転載する文章は、奥様が「あなただったら、何と言うだろうか、どう考えるだろうか?」と書かれたものです。
それは、2004年12月31日にイラクで殺害された香田誕生さんのことに関してです。


 日本人というのは、どうして「目の前の事象」にしか目を向けられないのでしょうか? 問題の本質は、香田さんの行為や亡くなられ方ではないはずです。誰が、どういう理由で、イラクをこんな状態に追い込んだのか、ということではありませんか?

 イラク戦争が始まる前まで、ほんの一年半か二年前までのイラクは、外国人の「旅行者」がイラクの街中を自由に歩き回れる状態だったのです。
 このたった一年半か二年くらいの間に、イラクは今のような状態になってしまった。こんなイラクにしてしまったのは、一体誰なのでしょう?
 そのことをみんなが忘れてしまっているのではないですか?

 そもそも国家と国民は契約で結ばれているのだと思います。
 国家は「その国民の生命と財産を守る義務」がある。その代わり、国民は税金を払いましょう。そういう契約を結んでいるのではないですか?
 国家は国民から税金だけ巻き上げ、国民の生命を守ることを放棄してしまっているのが今の日本という国だと思います。
 ご自分たちが「義務を放棄」しておきながら「自己責任」とか「退避勧告が出ていたのに・・・・・・」と責任を犠牲者に押しつけるのはおかしい。

 人の命をどう考えておられるのですか? 人を愛したことがないのですか? ご自分の家族でなければ、他の一般国民の命はどうでもいいのですか? 公務員だけ守られればいいのですか? そして、ご自分たちがイラクを今のような状態にした「加担者」だ、ということも忘れているのでありませんか?

 本来、国家というものは、国民の前面に立って大手を広げて、国民を守るものなのではないですか? 今の日本は違いますね.国民からむしりとるだけむしりとって、一握りの方々を守るために、国民を自分たちの前面に生け贄として差し出している。こんなにひどい国は他にはない。

・・・・・・

 戦争が始まる前まで、イラクの人々は日本と日本人に対して「良い感情」を持っていたそうです。それが、この二年近くの間に変わってしまった。日本はアメリカの同盟国であり、イラクに敵対する国になってしまったのです。
 だから、香田さんは殺されてしまった。いわば、香田さんは、日本という国に殺されたも同然なのではないでしょうか?

・・・・・・

 そういう方々を選んだのは、私たち国民一人ひとり・・・。ですから、その「罪」も「罰」も、私たち国民一人ひとりが負うべきものなのでしょう。



日本を取り巻く環境は変わっている、と言い、だからこそ安保法案をぜひとも可決しないといけないと言う。
日本を取り巻く環境が変わったとしたら、どうしてそうなったの?
その責任を諸外国にあると言わんばかりのアベ政権ですが、そうでしょうか?

戦争を仕掛けていくアメリカに盲従し、その結果、自衛隊を海外派兵した頃から変わっていったのではないでしょうか。
イラクやアフガニスタン、シリアが今のような状況に陥ったのは、どうして?

そういうことを考え、平和を本当に追い求めるなら、そこに武力や軍隊は必要ありません。
武力や脅かしで平和なんて絶対に来やしません。


私たちは今、こうして生きています。
その生きている命を、ある人たちの思惑のために奪われるなんて、絶対に嫌です。

橋田信介氏は、大学で講義をされてもいて、そこで「生きることの大切さ」を伝えていたそうです。
生きる、ということは大切なこと。
そのことを分かっていない人たちが、生きるとは儲けることだとしか考えていない人たちが戦争を起こし、戦場を生み出すのだろう。



関連記事

Comments 4

There are no comments yet.

さくら

おはようございます❀
私が沖縄へ行った時のことが激しく蘇ってきます。
民間人が戦争へ駆り出されていき・・・
戦死された方々が、
兵士よりも民間人の方々の方が多かったことと。
太田実少将が決意の最期を迎えられる時に打った
電文の全てを。
私は平和の大切さを肝に銘じていない人々に読んで
もらいたいと思っています。

2015/07/13 (Mon) 09:08

愛希穂

さくら 様

こんにちは。
今日は休みなので、お昼のうちから返信できます。久しぶりにゆっくりしています。
> 私が沖縄へ行った時のことが激しく蘇ってきます。
 沖縄。私はまだ一度も行ったことがありませんが、子ども達といつかは訪れたいと思っています。
 沖縄戦では、多くの民間人が犠牲になり、軍隊は民間人を見捨てた、とそのように思っていました。
 私は太田実少将のことを全く知りませんでしたが、ネットで検索して少将のその電文を読みました。
 短い電文でしたが、文字を読むだけでしたが、でも、その行間から、その時沖縄が人々がどのような状態だったのか、深く伝わってきました。特に最後の一文には深く胸に刺さるものがあります。
 「一木一草焦土と化せん。糧食6月一杯を支うるのみなりという。沖縄県民斯く戦えり。県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを。」

> 私は平和の大切さを肝に銘じていない人々に読んで
> もらいたいと思っています。
どれだけの尊い命が理不尽に奪われたか。でもその一方、あの戦争を引き起こした人たちの中には、その後もぬくぬくと生きた者たちもいた。その中の一人の孫が、祖父が犯した愚かな過ちをまた繰り返そうとしています。
この電文やあの戦争を生きた人たちの証しを読んで、当時のことに思いを馳せ、戦争で決して平和など実現しないことを分かってほしいです。

2015/07/13 (Mon) 13:07

彼岸花さん

おはようございます~♪
戦場がわかっていない。本当にそう思います。
自衛隊の黒塗りの報告が提出されましたね。あれを見れば、安全とされていたサマーワでも、自衛隊員の身が危なかった…ほんとに危機一髪だったってことが何度もあったという実態がわかります。
今度の新安保法制では、自衛隊員にもっと危険な任務がいっぱい課せられることになる…
私は自衛隊が、災害救助以外のことで海外に出ていくこと自体に反対だけど、それでも、政府の自衛隊員の身分の扱いに対する認識は、ひどすぎると思ってしまいます。
危険な地に行って任務実行するのは彼らなのに。
安倍さんは、アメリカだけでなくNATO軍加盟国とも対等の立場になりたいんじゃないかな。
安倍さんの政治の動機は、個人的情念から来ている。それを考えると、彼の目指していることがなんとなく見えてくるんですよね~…
自分の記事書くので精一杯で、なかなか訪問コメント出来なくってごめんなさ~ぃ!
でも、気持ちではいつだって応援していま~す♪ ^^

2015/07/18 (Sat) 09:01

愛希穂

彼岸花さん

こんにちは!
安保の強行採決に、日本はどうなっていくのだろうって不安になります。
と同時に、私のようなちっぽけな民間人が何かを考えてどうのこうのとなるわけではありませんが、でも、「どうなっていくのろう」ってただ不安に思っているだけではなくて、「こんな日本になってほしい」って思って声を上げていくことが大切なんだろうなって思っています。
> 戦場がわかっていない。本当にそう思います。
ですよね。アベたちの想像にあるのは(あるかどうかはわかりませんが)、湾岸戦争の時、テレビで報道されたまるでショーでも見ているかのような煌めく光のシャワーが戦争だと思っているのではないか。その光の先で起こっていたことには、まるで関心がないか、知らないか、そんなところではないかなって思います。
> 今度の新安保法制では、自衛隊員にもっと危険な任務がいっぱい課せられることになる…
 そうなんですよね。自衛隊員にどれだけの危険がついてまわるか。でも、危険にさらされるのは自衛隊員だ、っていうのがあるから、あんなにいい加減な態度で強行採決できるのでしょうね。もし、その危険な任務に就くのが採決に賛成した人になるとしたら、誰も賛成なんてしないでしょうね。
> 安倍さんは、アメリカだけでなくNATO軍加盟国とも対等の立場になりたいんじゃないかな。
 対等の立場になって、発言力を強めて、「僕ちゃんは偉いんだ!」って自己満足したいのでしょうか。愚かですよね。
 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読んで初めて知ったのですが、国際秩序(国際法)のなかでは、日本は現在も「敵国」という最下層国に位置づけられたまま、だということ。(ドイツはそれを1990年代くらいに解かれたそうですね)。そんな日本が本当に発言力を高めたいのなら、方向がまるで違っていますよね。
 その本には、「米軍機は、日本全土で低空飛行訓練をすることで、いつでも日本中の原発を爆撃できるオプションをもっている。」とも書かれていました。アメリカは日本を信用していない、ってことですよね。
> 自分の記事書くので精一杯で、なかなか訪問コメント出来なくってごめんなさ~ぃ!
> でも、気持ちではいつだって応援していま~す♪
そんなの気にしないで下さい。彼岸花さんはきっと色々と考えをまとめている最中なのだって。そして、彼岸花さんの記事を楽しみに待っています。でも、楽しみに待って読むだけに終わっている私ですが・・・。

2015/07/18 (Sat) 13:36
愛希穂
Admin: 愛希穂
読書とパソコン、ピアノと賛美、ヤマトの古代君とマッチが大好き。
これからも続く人生の中で今日が一番若い日。
感謝の心を忘れないでいたいです。
ノンフィクション・手記